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など、当事者の予想しない場所での契約成立という結果をもたらすことになり、「受信された場所」をもって、「契約成立の場所」とする規定は不適切であるとの反対の意見が述べられている。その後に修正された1994年モデル法案では、「契約の成立に関しては、当事者間で別段の合意をした場合を除き、申込およびその承諾は、データメッセージの方法で表示することができる。」(In the context of contract formation、unless otherwise agreed by the parties,an offer and the acceptance of an offer may be expressed by means of data messages。)と規定している(第13条)。
【「データメッセージの発信および受信の時および場所」について、後掲のEDIモデル法案第14条を参照されたい。】
(4)EDI協定書による明示的合意
このように、承諾の効力発生および契約成立の時期に関する法律原則が、国によりまちまちであるから、国際商取引では、申込において承諾の通信手段、効力発生の時期および場所を明示的に指定することが必要である。まして、EDIによる契約成立に関しては、国際統一法が存在しないばかりでなく、各国の法律の解釈も不明確であり、まだ法的に確立していない。EDIによって国際商取引を行う当事者は、契約成立の確認と安全確保を図るために、EDI協定書に契約成立の時および場所について明示的に合意しておくことが大切がある。国連モデル交換協定書は、現在使用されている各国または地域のモデル協定書の条項および現行のEDI慣行を十分に考慮して検討した結果、「本協定書に基づいて電子データ交換を使用して締結された契約は、申込の承諾として送信されたメッセージが第3.1条の規定に従って受信されたとき、成立したものとみなす。」という規定を設けたのである。取引当事者は、この原則が採用された背景を勘酌して、EDI協定書を作成することが望ましい。
5.EDIを使用して締結される契約の成立時期(VAN経由のケース)
EDIを使用して締結される契約に係るメッセージの送受信、契約の成立時期等について、「第三者サービス提供者」(VAN事業者)が介在して行われる通信についてみると、次のようになる。

 

 

 

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